JSSC会員の 辻 博美様の作品紹介
10歳のお孫さんの名前から PRINCESS MOMOKO

船名 PRINCESS MOMOKO (帯広市在住の10歳の孫娘の名前による)


 スペック

 ■全長 1550mm ■全幅 420mm  ハル幅  200mm (マスト含む)
 ■全幅 420mm(スポンソン含む) ■全高 600mm(マスト含む)
■重量:20kg ■ 吃水長 90mm  ■乾舷長110mm  ■サイドホイール直径:140mm
■パドルの大きさ:70mm×30mmの 8枚(固定式)
■その他:現在もクルーザー船として英国で活躍中の実船”WAVERLEY”をイメージして、オリジナルにしています。

製作のあらまし
1. 設計図の入手:英国のBrown,Son and Ferguson Ltd 社の Working Model Paddle Steamer
 
 @ Lines for Working Model, Specification and Table of Weights AProfile, Rudder Details, Etc.
 BDeck Plan and Superstructure Details
           CSponsons, Machinery, Paddle Details, Etc. の4枚の図面を同社のHPより購入し、これを基本にしました。

  2. 縮尺:1/4”(1/43.5)の図面を斉藤製作所のY2エンジンを乗せるため約1/40にまで拡大した。
  3. ハルの製作:フレームは厚さ10mm及び5mmの合板から切り出し、キールは15mmの檜丸棒を使用した。
  4. 外板:幅10mm厚さ2mmの檜板及び幅5mm厚さ2mmの檜板を使用した。
  5. ハルの補強:外部はグラスウール利用によるFRPコーティング1回塗り、内部はグラスウール利用による
     FRPコーティング2回塗りとした。
  6. ハルの塗装:2液硬化型アクリルウレタンを使用した。
  7. 甲板:厚さ2mmの合板に、厚さ2mm幅5mmのマホガニー材を貼り付けた。
  8. サイドホイールの製作:厚さ3mmのアクリル板より切り出した。
9. 駆動方式:スチーム(ボイラー:斉藤製作所B3、エンジン:同社Y2)と電動(エンジン停止時の補助機関として)のHYBRIDとした。
 10. 駆動方式:Y2エンジンの回転をベルトドライブのプーリーにより1/2に減速した。
 11. モーター駆動のON、OFF:引き込み脚用のサーボを利用し、ギアを接続した(モデルショップキャプテンに製作依頼。
 12. コントローラ:MC231CR(双葉電子工業製)
 13. 発煙装置:発煙装置(斉藤製作所)により発生した煙を前部煙突に導入し、後部煙突からはスチームによる煙を排出するようにし
、    実船の2本煙突の特徴を再現した。
 13. ウインドラス:甲板下に自作、日本橋の電気街で、パッチもののギアモータを格安で入手。メーカー、型番共に不明。
 14. 電飾まわり:出来るだけ配線を露出させないよう、マストは釣り竿を利用し、内部に配線をした。また、ライトについては真鍮パイ
     プを利用し配線資材はエナメル線を用いた。
 15. 旗:HPより入手の後、アイロンプリントにより作成した。
 16. プロポ:2.4GHz 6J(双葉電子工業製)
 17. その他1:遊び心を追求させるため、出来るだけ可動部を多くした。例 ドアの開閉、錨の上げ下げ、電飾の点滅、変色 など。
 18. その他2:キャビン内のカーテン、テーブルセッティング、フロアマットの編み上げ、ロープの染色、キャラクターの製作は妻の
     協力を得た。
 19. その他3:前々作のポーラースター(斉藤製作所)のJSSC本拠地の万博公園太地の池における、処女航海時のエンジン
     ストップによる救出時の不手際による転覆、沈没(同日、JSSC会員の協力を得て苦労の末、サルベージ成功、現在復活・順調に
     走航中)の苦い経験から、船の守り神 金比羅さんの船霊を甲板下にお祭りしています(処女航海では無事沈没せず、御利益
     がありました)。
 20. 細部の部品については、斉藤製作所をはじめとする船舶模型メーカーの部品を活用し、その他手芸用品店からの調達も行った。
 
  追伸
 SRBCの会員の皆様には色々と技術的なサジェッションを頂きました。PRINCESS MOMOKOの改良に向けて生かして
いきたいと思いますとともに、今後ともよろしくご指導下さい。どうかSRBC会員の皆様によろしくお伝え下さいますようお願いいたします。
 

■船首部分よりの全景
 英国で今も活躍中のWAVERLEYの、
特に赤、白、黒に塗り分けた2本のファンネル
の雰囲気が多少なりとも出せたかなあと気
に入っています。
■船首のウインドラス部分
 アンカーはウインドラスの甲板下に設置
したギヤモーター(大阪日本橋の電気街で
パッチものを格安で購入、メーカー・型番
不明)にて可動式としています。
 旗はWAVERLEYのHPより画像を入手
後、アイロンプリントにより作成しています。
 マストはアルミ製の釣り竿を利用し、
輸送を考慮して転倒式とし、内部にライト
の電線の配線をしています。
■船尾部分1
 甲板最外縁の曲線部材は厚さ1mmの
マホガニー材を曲げて貼り合わせて製作
しました。ラダーは、真鍮蝶番に厚さ1mm
の銅板を張り付け、その表面に檜の薄板
を張り付け加工し、成形しました(設計図
よりやや大きめとしました)。
■船体中央部1
 2本のファンネルが気に入っています。
後方ファンネルからはスチームエンジンから
の白煙が出るが、前方ファンネルから白煙を
出すため、斉藤製作所発煙装置で発生した
白煙を導くチューブを引き込んでいます。
■船体中央部2(操舵室部分)
 実船のWAVERLEYでは、操舵室は当然
キャビンとなっていますが、レトロ感を出す
ためキャンバス張りとしました。また、手摺
の曲線部は厚さ1mmのマホガニー材を曲
げて貼り合わせて製作しました。
■船体中央部3
 操舵室前の小さなキャビンは甲板下の
階段に続いています。観音扉は開閉ができ、
走航時にはスチームエンジンのための新鮮
空気取り入れ口となります。
 操舵室甲板裏には、海上交通の守り神とし
て信仰の熱い金比羅さん(金刀比羅宮、♪
こんぴらふねふね・・・♪で有名)に参拝し
て求めた船霊様を安置してあります。
 これは斉藤製作所のポーラースターを
JSSCのホームグランドの万博公園内の
太地の池での処女航海時にエンストを起こし、
JSSC会員の協力により回収中に自分の不
注意で横転、沈没した苦い経験があり(無事
回収し、順調に走っています)、以後の船に
は(もちろんポーラースターにも)船霊様を
安置しています。
 通気筒と煙突の間には、乗客が上下船時に
使用するボーディングブリッジを収納してあ
ります。
■金比羅さん(金刀比羅宮)の船霊様
■一等船室のラウンジ1
 窓は厚さ1mmのマホガニー材で成形後、
腰板はチーク材をはめ込みました。ラウンジ
内の様子は写真11と14で見る事が出来
ます。
■一等船室のラウンジ2
 手摺付近に見えるランタンは6基設置し、
中には7色変色のLEDを組み込み、内部の
照明は「LED調光・点滅キット」(イーケーシ
ージャパン製)を用いました。また、両舷の
舷窓は「LED順送りキット」(イーケーシー
ジャパン製)を用い、前部キャビンおよび甲板
上の照明は「白色LED点灯回路」(RFAD製)
を、それぞれ使用しました。
後部に立っているのは排気筒です。
■後方から見た右舷のパドル付近
■右舷のパドルボックス
 パドルボックスの字や文様は、デザインをパソコンで作成・プリントアウトし、その上に置いたOHP用透明フィルムに極細の筆でなぞって
作成し(妻の協力を得ました)、切り取りパドルボックスに張り付けました。
 パドルボックス上および横の上陸用出入り口のロープの留め金は、手芸用品売り場でビーズネックレスの留め金を購入し、用いました。
■一等ラウンジの内部模様
 階段手すりの支柱は、お子様ランチに付いている旗の爪楊枝(普通のものよりやや太い)を使い、細い支柱は普通の爪楊枝を用いました。
テーブルセッティングおよび紙粘土製の食器は、妻の協力を得ました。テーブル上にはさりげなくSCOTCH WHISKYが置かれています。
■救命ボート
 適度な大きさの米国MODEL SHIPWAY 
社製の木製ボートを利用して
います。
■一等ラウンジの階上プロムナード
 フィギュアーは妻の手作り、PREISERの
フィギュアーを購入するより、いかにも手作
り感があって何よりも安価なので気に入っ
ています。座っているベンチは1mm角の
檜材を用いて作成しました。
■一等ラウンジの内部照明
 窓のレースのカーテンは妻の手芸用を分け
てもらいました。点滅の白色LEDを窓際に
10灯つけてみました。電源は一等ラウンジ
の甲板下に単4乾電池4本を収納しています
 トップヘビーの一因となっているかも
知れません。
■パドルボックス(左舷)上の舷側灯と手擦り
 手摺りの曲線部は厚さ1mmのマホガニー
材を曲げて貼り合わせて曲線を表現し、
適当な厚さに削り作成し、油性塗料(チーク)
を塗りました。
■パドルボックス(右舷)上の上陸用出入り
口への階段
 パドルボックスの曲線部は厚さ2mm、
幅5mmのマホガニー材を貼り合わせて、
曲面を作りました。階段上の手摺りは、
他の手摺りと同じようにして曲げ加工して
作成した。
■パドルボックス(左舷)とバーナー、Y2エン
ジン、駆動用モーターの配置パドルボックス
(左舷)上と階段下の上陸用出入り口の
マットは、ロープワークのテクニックを装
飾的に応用した八つ目マットで、妻がたこ
糸で編み上げました。

■八つ目マット(妻の製作)
■船体中央部と駆動装置1
 スチームは、斉藤製作所のB3ボイラーにY2エンジンを使用しており、エンジントラブル等の回避のため、電動を補助動力としています。
モーターはエーグルZーZONEモディファイドモーターを24:7で減速しています。
 後方ファンネルからはスチームエンジンからの白煙が出るが、前方ファンネルから白煙を出すため、斉藤製作所発煙装置で発生した
白煙を導くチューブを引き込んでいます。
■船体中央部と駆動装置2
 Y2エンジンと廃液タンクの前が電動補助
駆動装置
■Y2エンジンの逆転サーボ、スピードコント
ローラー及びスイッチエンジンの逆転用サ
ーボはごく一般的なFUTABAのS3003、
コントローラーもFUTABAのMC231CRを
使用しています。
■バーナーとボイラー及び発煙装置
 バーナーはメチルアルコールを用い、注入
量は空焚きを防止するため100ml以下とし
ています。余熱のアルコールパンおよび
その下の受け皿は、お菓子作りの型を用
いています。バーナー左側の電源はアンカ
ーを上げ下げするギアモーター用です。
■Y2エンジンの減速プーリ
 Y2エンジンの回転をベルトドライブで
約2:1に減速しました。ちょっとスピードが
出ない気もしますが、まあのんびりと行き
ましょう。その分舵の切れが悪いきらいは
ありますが・・・。
■PRINCESS MOMOKOのばあちゃん
.です。
 この強力な理解者無くして、PRINCESS 
MOMOKOの処女航海は無事終わることが
できませんでした。感謝、感謝。
■PRINCESS MOMOKOの鳥瞰図
■初めての瀬戸大橋模型船大会の参加記念写真です。

☆ 今後しなければならないこと

 @走行前は船体が水平であるが走航すると右側に傾斜する原因と対策
・トップヘビーの船体を少しでも重心を下げる事を考える。
・パドルが回った時に右に傾斜するので、パドルが左右で能力が異なることが考えられるので、静止時と走航時の重心を
移動する装置を考案する。
 Aマストおよび操舵室廻りのLED点灯のための配線
 B船体の塗装ムラの是正
 C可動式フロートのパドル(FEATHERING PADDLE)にする。


■見事な作品です、なんと言っても素晴らしい事はご夫婦共同製作すること、夫婦円満の秘訣ですね。
時間の許す限りご一緒に出かけることを望みます。

趣味とは自分の好きなことに思わず「はまってしまう」こと、専門的なことではなく自由に楽しむ事ではないだろうか、
そのためであれば少しお金を投資しても又睡眠時間を奪われても良いか・・・と
好きだから没頭でき、好きだから研究もし、好きだから我慢をする、だから情熱をつぎ込むことが出来る、そして
それぞれの個性のある作品が完成する、私は何時までもこの趣味だけは「止めず、あきらめず、何時までも」続けていきたい。
自分の好きなことが出来ることは実に素晴らしいと何時も思います。
どなたも趣味を持ちましょう。
辻様ご協力有難う御座いました。他に紹介したい作品あれば情報下さい。(NW)